2011年5月、東日本大震災の発災から間もない時期に「日中韓首脳会議」が東京で開かれ、その夕食会が迎賓館で催されました。
前沢牛や宮城のアワビ、青森の時鮭など、被災地・東北の食材が多く使われたメニューに合わせ、次のような日本やフランスのワイン、日本酒が供されました。
「アルガブランカ イセハラ」は、1937年創業の「勝沼醸造」が生産する甲州ワインです。
日本固有のぶどう「甲州」から、シュール・リー醸造法(ワインと澱を数ヶ月間接触させる)を用いた、食事(特に和食)に合う辛口のワインです。ワインに合いにくいと言われた出汁、味噌、醤油、わさびなどにも相性がいいので、和食全般にピッタリのワインです。
【赤ワイン】ジュヴレ・シャンベルタン ブシャール・ペール・エ・フィス
ジュヴレ・シャンベルタンは、フランスのブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏コート・ドール県の村で、ここで生産されるワインは、ナポレオンに愛されたという逸話が残っているほど、優れたワインとして認知されています。
「ドメーヌ・ブシャール・ペール・エ・フィス」は、1731年に創業された老舗ワイナリーで、ここで複数の有力生産者からぶどうを調達して造られているのが「ジュヴレ・シャンベルタン」です。ブラックチェリーを思わせる果実味と美しい酸味を生かした、豊かで複雑味のあるワインです。
ジュヴレ・シャンベルタン ブシャール・ペール・エ・フィスの商品一覧(楽天市場)
「飛露喜」は、福島会津のお酒で、地元でも手に入りにくいほどの人気です。蔵元さんの「濃密な透明感のある、存在感のある酒を造りたい」という言葉どおり、存在感がありつつ、スッキリとした切れのある日本酒です。
原料には、会津坂下町や隣接する喜多方市で採れた酒米が使われています。
現在では「無濾過生原酒」は珍しくありませんが、一般に浸透するきっかけを作ったのは、火入れ前の日本酒として販売された「飛露喜」であったと言われています。
東日本大震災の直後、「東北の産品を食べることを通じて被災地の復興を支援しよう」という動きが活発になったことが思い出されます。今回ご紹介した「飛露喜」をはじめ、東北の美味しいお酒を楽しむことを通じて、引き続き復興支援を続けていくというのも良いのではないでしょうか。